精密板金技術情報
Technical
精密板金材料情報
材料面積あたりの単価
材料価格のキログラム単価はよく目にされると思いますが、面積あたりの単価はなかなか比較されません。
しかしながら面積で比較するといろいろ違った視点で材料コストを見ることができると思います。
アルミニウム板は重量単価では鋼板の7-8倍はしますが、面積単価では2倍程度に収まっています。
製品の要求スペックによって材料に対する要求も異なりますが、スペックを満足する最も安価な材料を選定することが板金設計段階で重要です。
従来からの実績で容易に高価な材料を選定してしまうことは避けたいところです。
1、各種材料の面積あたりの単価
各種材料の面積単価比
SPCC | 冷間圧延鋼板 |
---|---|
SPHC | 熱間圧延鋼板 |
SPGC | 亜鉛鋼板 |
A5052P | アルミ合金 |
SUS430 | ステンレス |
SUS304 | ステンレス |
BsP3 | 黄銅 |
TCuPl | 銅板 |
PBSP | バネ用リン青銅 |
ステンレス系材料の面積単価比
SUS430 | フェライト系ステンレス |
---|---|
SUS304 | オーステナイト系ステンレス |
SUS304L | オーステナイト系ステンレス |
SUS316 | オーステナイト系ステンレス |
2、アルミニウム系材料の分類
アルミニウムの分類(展伸材)
熱処理種類 | 系統 | 合金種類 | 特徴 | 問題点 |
---|---|---|---|---|
非熱処理系合金 | 1000系 | 純アルミニウム | 耐食性、電気伝導性、熱伝導性がいいです。 | 切削性、強度 |
熱処理系合金 | 2000系 | Al-Cu-Mg系合金 | ジュラルミン、超ジュラルミン高強度材は2000系になります。 | 溶接性、耐食性、塑性加工性 |
非熱処理系合金 | 3000系 | Al-Mn系合金 | 耐食性、強度が良好です。 | 切削性 |
非熱処理系合金 | 4000系 | Al-Si系合金 | 耐摩耗性が良好です。 | 溶接性 |
非熱処理系合金 | 5000系 | Al-Mg系合金 | 精密板金加工では最も使用する材料です。 | 切削性 |
熱処理系合金 | 6000系 | Al-Mg-Si系合金 | 強度、耐食性が良好です。 | 塑性加工性、切削性 |
熱処理系合金 | 7000系 | Al-Zn-Mg系合金 | アルミ最強の超々ジュラルミンも7000系の仲間です | 塑性加工性、溶接性 |
3、材料の記号表記について
A5052P-H32
これは精密板金加工でよく使用されるアルミの材料です。
以下にこの記号を分解して説明します。
A | アルミニウムであることを示すA |
---|---|
5 | 主要添加元素により、1~9を使用します |
0 | 0は基本合金を示し、1~9は改良合金で使用される |
52 | 1000系はアルミニウムの純度小数点以下二桁を表記する。1000系以外の合金については旧アルコアの呼び方を原則使用している。 |
P | 薄板であることを示す |
H3 | 冷間加工を行い、さらに安定化処理したものを示す |
2 | 1/4硬質であることを示す |
このような構成になっているのですね。
-(ハイフン)以降の表記について
-(ハイフン)以降は基本的に熱処理の種類を示しています。
以下に良く使われるものを示します。
-H1n | 冷間加工を行い、加工硬化したものを指します |
---|---|
-H2n | 加熱硬化させたものに適度に軟化熱処理をおこなったものを指します |
-H3n | 冷間加工を行い、さらに安定化処理したものを指します |
nは0~8まで(主に使用するのは2,4,6,8)あり、それぞれ加工硬化のレベルを示します。
8は最も硬質な状態
0は焼きなましにより最も柔らかい状態
であり、
たとえば
-H34でしたら0と8の中間の1/2硬質の硬化状態であることを示します。
- -O
オー材と呼ばれ、焼きなましにより最も柔らかい状態のものを指します - -H112
特に加工硬化をせず、製造されたままの材料のことをいいます。
実際には図面上にこのような材料表記がなされます。
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